若者とウイスキーを考える

最近の若者はウイスキーをあまり飲まないんだって。
なるほど。
僕なりに少し考えてみた。

簡単に言っちゃうと、今の若者にはウイスキーに対する「憧れ」が無いような気がする。

僕らの世代ぐらいまでは子供の頃、どの家庭に行ってもウイスキーはありがたく戸棚に「鎮座」されていたもんだ。
スコッチなんて一般庶民には到底普段飲みできる酒じゃなかった。
海外旅行に行ったときに免税店で買ってくるぐらいで。
普段飲んでるのは「RED」や「トリス」、少々良くて「ダルマ」ぐらいなもんだった。

そんな親父たちを見ていたから、子供心に「スコッチってスゴイお酒なんだなぁ」っていう感覚が無意識に刷り込まれていたんじゃないかな。

そしてこうも思った。「大人になったら俺もスコッチを飲めるようにがんばるぞ!」と。

時代が変わり、酒税法やら何やらで今やスコッチといえども庶民の酒になりさがり。
町のディスカウントショップに行けば免税店よりも安く買える状況だ。

あの頃の親父たちが「ジョニ黒」と敬愛をもって呼び、憧れたスコッチが今では1900円ほどで買えてしまう。
(スコッチの名誉の為にも言うが、今のジョニ黒と昔(例えば「特級」表示されている)ジョニ黒とは別物だ。今のジョニ黒を飲んで「え〜こんなの有難がって飲んでたの?と思わないでほしい。当時のジョニ黒は今のスコッチの2万円クラス、いや、それ以上の味だったろう。その理由は色々あるが、長くなるのでまた次の機会に)

そんな手頃で安い酒になってしまったスコッチやバーボンに今の若者が憧れを抱くようになるのは難しいかもしれない。

ましてや世界的な「ライト化」志向の波の中でハードリカーたちはどんどん肩身が狭くなるばかり。
男たちも昔に比べればずいぶん軟弱になった。
今の男の子達は女の子とお酒を飲む席でも平気で「カルーアミルク!」や「ストロベリーソーダ!」などと注文してくる。

一度聞いたことがあるが、それは少しも「恥ずかしくない」ことらしい。
(おそらく僕がおっさんになったんだね。僕らには女の子とのデートで「カルーアミルク」などと頼むことは「カッコワルイ」こととして映る(ギリギリの)世代なんだな。(笑))

「カッコイイ」男になりたかった僕たちは精一杯背伸びしてスコッチやバーボンを飲んだ。
カウンターに独り座ってウイスキーを飲ることで、一人前の男になれたような気がした。
僕たちが憧れたあの頃の親父たちのように...。

言葉は悪くなるが「女、子供にはわからない」酒がウイスキーだったし、それでよかった。
本来BARというところはそういう場所でもあり、ハードボイルドな男たちの「聖域」こそがBARという空間だったんだ。

でも、今や女性が強くなり、立派に自立されている方も多いからね、そういった考えは時代にそぐわないことも承知している。
(かっこいい女性が増えた反面、男たちよもっとがんばれ〜!とも言いたくなりますが(笑))

うれしいことに最近はシングルモルトなどが一般にも徐々に浸透してきて、若者にも興味を持つ人が増えているという話を耳にする。
「本物」を知るということはすごくイイことだ。
日本の若者の酒文化レベルの低さは世界的に見ても恥ずかしいとよく言われているが、昨今の本格焼酎ブームと相まってだんだんと酒文化レベルの向上に繋がれば、こんなうれしいことはない。


2005/10/15(Fri) 14:50:21 | 日記
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JOE
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