古い船を今動かせるのは...
「愚問」
また聞かれちゃったよ。
この質問。
今まで何度、聞かれたことだろう。
俺がもっともムシズの走る質問。
「...で、音楽でメシ食っていく気あるの?ないの?」
はっきり言って俺はこの手の質問をする奴の気が知れない。
今回は、例の打ち上げの席だったもんだから、軽く笑って流しちゃったけど。
それを聞いてどうすんの?って思うんだよね。
その質問からはすごくマイナスの感情が感じ取れる。
「あります」と答えたら、きっと「お前の歌でメシ食っていけるほど甘くは無いよ」とでも言うんだろう。
「いや〜、ないです」と答えたら「そんなハンパな気持ちで音楽やるんじゃねぇ」とでも言いたいんだろう。
要は、俺の事が面白くないのだ。
それならそれで結構。俺の事はほっといて下さい。と、思うんだがそう言う輩に限って妙に絡んできたりするから困ったもんだ。
その手の話になると俺も感情的になりそうになるから(笑)極力受け流すようにはしてるんだけど。
こんな質問が音楽やってる奴の口から出るんだから、あきれる。
まぁ、「愚問」だよ。
「メジャーになる気あんの?」
「プロにはならないの?」
「何を目指して歌ってんの?」
だいたい、その「手」の質問をされた時に俺が唯一答えることは
「本物の唄を歌える人間になりたい」
と、いう事だけだ。
今の時代、クソみたいな歌を歌って「プロ」だと言ってるのもいれば、本物の歌を歌う「アマチュア」も沢山いる。
何を持ってプロというか、アマチュアというか。その線引きが「金」だけなら俺は「プロ」というものにあまり興味を示さない。
一人前の寿司屋になるのに最低8年。
どんな職人だって修行を経て一人前になるのに、音楽だけだよ、ポッと出て「プロです」なんて言えちゃうのは。
まぁ、ミュージシャンは一種芸術家だから、センスの問題も大いにあると思うけど、天才は一握りだと思うしね。それこそ「画家」と「画商」のような関係。自分を拾ってくれる存在が無ければ、どんなにがんばっても成り立たないとも思うし。
そういう意味においても俺は「本物」の唄を歌える人間になりたい。と常々思っているし、その努力もしているつもりだ。(一応念のために言うが、俺はプロを尊敬しているし、自分にもチャンスがあれば挑んでいく気持はある。「運」が大きく左右する世界ではあるけど。)
すべてにおいて大事なのは「動機」でね。
何をしたか、の「結果」じゃ無いよ。「結果」なんかどうだっていい。
「成功」なんてのは人に決められるもんじゃない。
大事なのは、そこに至るプロセスにおいて、何を「込めた」かだ。
何のために唄を歌うのか、そこに何を込めるのか。
唄に何を込めるか?イベントに何を込めるか?
俺が興味があるのはそういったことだ。
余談だが、あのイベントの日、短い時間ながらも中村隆道さんと実のある話が出来た。
その中でも興味があったのは、彼が庄野真代さんと立ち上げたという「国境無き楽団」(NPO)についてだ。
その活動内容は、訪問コンサートや去年から行われているセプテンバー・コンサート(9・11追悼イベント)、発展途上国の子供たちに楽器を届ける。等など...。
「JOEにも協力をお願いする事があるかもしれない。」
俺は自分の胸が高鳴るのを覚えた。
「俺なんかで役に立つ事があればいつでも言ってください。」
俺の歌が人のために役立つときが来るのなら、こんな素晴らしい事はない。
わかるかな?
つまり、俺が話をしていたいのは、こういう事なんだよ。
「過去との決別」
あのイベントの日、俺は15年ぶりぐらいに北見ゆきお氏と再会した。
サークル時代から宮フォーク村の「村長」と呼ばれていた人物。
お店には一度も来た事は無いのだが、当時からのメンバーだったスタッフが敬意を表して「村長」としていた。
俺はフォーク村がまだサークル時代だった頃に一度だけ面識がある。
その時に彼のカセットテープをもらい、音楽の話などもしてもらった記憶がある。
その彼が7周年コンサートの日、初めてやってきた。
久しぶりに見る「北見ゆきお」は髪が白くなった以外、変わらないなぁ。という印象。
俺は自分から、喜び勇んで彼に声をかけた。
「どうも、北條です。今、僕が店をやらさせていただいてます。」
「あっそう。」
「覚えてますか、昔一度お会いした事あるんですけど、」
「う〜ん、覚えてないなぁ」
「あの、のんびり屋ってお店で...。」
「そんな店あったっけ?」
まるっきりの肩透かしだったね。(苦笑)
会話にすらならなかった。
そして俺はその瞬間途方も無くむなしくなった。
あぁ、俺は今までこんな人を村長として尊敬していたのか...。
俺と話す事すら面倒臭そうな彼は、昔のメンバーのライブが終わった後、さっさと帰ってしまった。
別に俺は彼に何も期待はしていない。現に今までだって名前だけの「村長」だったわけだし。だけど、俺はどっかで何かを期待していたのだ。
彼からのねぎらいの言葉を...。
それに気づいた瞬間、自分が恥ずかしくなったし、「何を期待してんだ俺は?」ってなんかアホらしくもなった。
仮にも、この7年間店を維持してきたのは俺だ。と、思ってきた。
俺以外にはこの特殊な店は出来ないという自負もある。(もちろん、俺を支えてくれる皆さんには心の底から感謝している上での話しだ)
なぜなら、俺は「金儲け」のためにこの店をやっている訳ではないからだ。
いつつぶれてもおかしくない状態の中で、「責任主体」の元に、好きなようにやらせてもらってきた。経営が苦しい分、自分の貯金を削りながら、その穴を埋めてきた。(時にはピンはねしてるんじゃないかと思われながらも(笑))
それに関して誰に何の文句もないし、むしろ好きなように任せてもらっている事に感謝しているくらいだよ。
もしも、仮に今まで「商売」第一に店を経営していたなら、俺は中村さんや松本君のような人生の財産とも言える人達にも出会えなかっただろうし、今回のようないいイベントだって出来なかっただろうと思っている。
だからね、逆に自分がアホらしくなっちゃったんだよね。
「何を期待してんだ?俺は」って。
褒めてもらいたかった訳じゃないけど、「ご苦労さん」ぐらいあってもいいんじゃないかって思っちゃったんだよね。
妙に子供みたいになっちゃって「あなたたちの作った「宮フォーク村」をこんなに立派にしたよ!どう?」ってさ、「ありがとう」なんて言われたかったのかね(苦笑)
会えるのを楽しみにしていたぶん、その反動(ギャップ)がでかすぎた。
大貫さんは「ああいう人なんだよ。気にスンナ」って笑ってたけど。
「JOEと似てるんだよ」ってさ。そう言われたら返す言葉も無かったけどね(笑)。
でも、今回はこれでいい節目になったと思っている。
「過去との決別」だ。
言葉は悪いかもしれないが、「過去の亡霊」には引っ込んでもらって、俺たちは俺たちの新しい道を作っていかなければ。
そういう意味においても新しい「村長」には期待もしている。
名前だけの「村長」なら、もういらない。からね。
今、俺の頭の中ではいろんな事が浮かんできている。
全部は話せないけど、とにかく、さらに店をよい方向へともって行きたいから。
「摩擦無くして何の相互理解か」って思うから。いい方向へのイメージだけをミンナが持っていれば、もめようが言い合おうが最後には必ず笑えるはず。
いろんな人が関わってる店だから、ハタから見るとややこしいかもしれないけど(笑)、これからも一つ、ヨロシクです。
そして、スタッフの人達に一言だけ言っておきたいのは、店に関して何かを決める時には必ず俺に報告してほしい。と、言う事。どんな瑣末な事でもね。
なぜなら、「宮フォーク村」に「生活」がかかってるのは俺だけなんですから(笑)。
今、俺の頭の中ではこの歌が流れているよ...。
「古い船には 新しい水夫が乗り込んでいくだろう
古い船を今動かせるのは 古い水夫じゃないだろう...」
大貫「村長」、これからもヨロシクです!!お互いがんばりましょう!!
また聞かれちゃったよ。
この質問。
今まで何度、聞かれたことだろう。
俺がもっともムシズの走る質問。
「...で、音楽でメシ食っていく気あるの?ないの?」
はっきり言って俺はこの手の質問をする奴の気が知れない。
今回は、例の打ち上げの席だったもんだから、軽く笑って流しちゃったけど。
それを聞いてどうすんの?って思うんだよね。
その質問からはすごくマイナスの感情が感じ取れる。
「あります」と答えたら、きっと「お前の歌でメシ食っていけるほど甘くは無いよ」とでも言うんだろう。
「いや〜、ないです」と答えたら「そんなハンパな気持ちで音楽やるんじゃねぇ」とでも言いたいんだろう。
要は、俺の事が面白くないのだ。
それならそれで結構。俺の事はほっといて下さい。と、思うんだがそう言う輩に限って妙に絡んできたりするから困ったもんだ。
その手の話になると俺も感情的になりそうになるから(笑)極力受け流すようにはしてるんだけど。
こんな質問が音楽やってる奴の口から出るんだから、あきれる。
まぁ、「愚問」だよ。
「メジャーになる気あんの?」
「プロにはならないの?」
「何を目指して歌ってんの?」
だいたい、その「手」の質問をされた時に俺が唯一答えることは
「本物の唄を歌える人間になりたい」
と、いう事だけだ。
今の時代、クソみたいな歌を歌って「プロ」だと言ってるのもいれば、本物の歌を歌う「アマチュア」も沢山いる。
何を持ってプロというか、アマチュアというか。その線引きが「金」だけなら俺は「プロ」というものにあまり興味を示さない。
一人前の寿司屋になるのに最低8年。
どんな職人だって修行を経て一人前になるのに、音楽だけだよ、ポッと出て「プロです」なんて言えちゃうのは。
まぁ、ミュージシャンは一種芸術家だから、センスの問題も大いにあると思うけど、天才は一握りだと思うしね。それこそ「画家」と「画商」のような関係。自分を拾ってくれる存在が無ければ、どんなにがんばっても成り立たないとも思うし。
そういう意味においても俺は「本物」の唄を歌える人間になりたい。と常々思っているし、その努力もしているつもりだ。(一応念のために言うが、俺はプロを尊敬しているし、自分にもチャンスがあれば挑んでいく気持はある。「運」が大きく左右する世界ではあるけど。)
すべてにおいて大事なのは「動機」でね。
何をしたか、の「結果」じゃ無いよ。「結果」なんかどうだっていい。
「成功」なんてのは人に決められるもんじゃない。
大事なのは、そこに至るプロセスにおいて、何を「込めた」かだ。
何のために唄を歌うのか、そこに何を込めるのか。
唄に何を込めるか?イベントに何を込めるか?
俺が興味があるのはそういったことだ。
余談だが、あのイベントの日、短い時間ながらも中村隆道さんと実のある話が出来た。
その中でも興味があったのは、彼が庄野真代さんと立ち上げたという「国境無き楽団」(NPO)についてだ。
その活動内容は、訪問コンサートや去年から行われているセプテンバー・コンサート(9・11追悼イベント)、発展途上国の子供たちに楽器を届ける。等など...。
「JOEにも協力をお願いする事があるかもしれない。」
俺は自分の胸が高鳴るのを覚えた。
「俺なんかで役に立つ事があればいつでも言ってください。」
俺の歌が人のために役立つときが来るのなら、こんな素晴らしい事はない。
わかるかな?
つまり、俺が話をしていたいのは、こういう事なんだよ。
「過去との決別」
あのイベントの日、俺は15年ぶりぐらいに北見ゆきお氏と再会した。
サークル時代から宮フォーク村の「村長」と呼ばれていた人物。
お店には一度も来た事は無いのだが、当時からのメンバーだったスタッフが敬意を表して「村長」としていた。
俺はフォーク村がまだサークル時代だった頃に一度だけ面識がある。
その時に彼のカセットテープをもらい、音楽の話などもしてもらった記憶がある。
その彼が7周年コンサートの日、初めてやってきた。
久しぶりに見る「北見ゆきお」は髪が白くなった以外、変わらないなぁ。という印象。
俺は自分から、喜び勇んで彼に声をかけた。
「どうも、北條です。今、僕が店をやらさせていただいてます。」
「あっそう。」
「覚えてますか、昔一度お会いした事あるんですけど、」
「う〜ん、覚えてないなぁ」
「あの、のんびり屋ってお店で...。」
「そんな店あったっけ?」
まるっきりの肩透かしだったね。(苦笑)
会話にすらならなかった。
そして俺はその瞬間途方も無くむなしくなった。
あぁ、俺は今までこんな人を村長として尊敬していたのか...。
俺と話す事すら面倒臭そうな彼は、昔のメンバーのライブが終わった後、さっさと帰ってしまった。
別に俺は彼に何も期待はしていない。現に今までだって名前だけの「村長」だったわけだし。だけど、俺はどっかで何かを期待していたのだ。
彼からのねぎらいの言葉を...。
それに気づいた瞬間、自分が恥ずかしくなったし、「何を期待してんだ俺は?」ってなんかアホらしくもなった。
仮にも、この7年間店を維持してきたのは俺だ。と、思ってきた。
俺以外にはこの特殊な店は出来ないという自負もある。(もちろん、俺を支えてくれる皆さんには心の底から感謝している上での話しだ)
なぜなら、俺は「金儲け」のためにこの店をやっている訳ではないからだ。
いつつぶれてもおかしくない状態の中で、「責任主体」の元に、好きなようにやらせてもらってきた。経営が苦しい分、自分の貯金を削りながら、その穴を埋めてきた。(時にはピンはねしてるんじゃないかと思われながらも(笑))
それに関して誰に何の文句もないし、むしろ好きなように任せてもらっている事に感謝しているくらいだよ。
もしも、仮に今まで「商売」第一に店を経営していたなら、俺は中村さんや松本君のような人生の財産とも言える人達にも出会えなかっただろうし、今回のようないいイベントだって出来なかっただろうと思っている。
だからね、逆に自分がアホらしくなっちゃったんだよね。
「何を期待してんだ?俺は」って。
褒めてもらいたかった訳じゃないけど、「ご苦労さん」ぐらいあってもいいんじゃないかって思っちゃったんだよね。
妙に子供みたいになっちゃって「あなたたちの作った「宮フォーク村」をこんなに立派にしたよ!どう?」ってさ、「ありがとう」なんて言われたかったのかね(苦笑)
会えるのを楽しみにしていたぶん、その反動(ギャップ)がでかすぎた。
大貫さんは「ああいう人なんだよ。気にスンナ」って笑ってたけど。
「JOEと似てるんだよ」ってさ。そう言われたら返す言葉も無かったけどね(笑)。
でも、今回はこれでいい節目になったと思っている。
「過去との決別」だ。
言葉は悪いかもしれないが、「過去の亡霊」には引っ込んでもらって、俺たちは俺たちの新しい道を作っていかなければ。
そういう意味においても新しい「村長」には期待もしている。
名前だけの「村長」なら、もういらない。からね。
今、俺の頭の中ではいろんな事が浮かんできている。
全部は話せないけど、とにかく、さらに店をよい方向へともって行きたいから。
「摩擦無くして何の相互理解か」って思うから。いい方向へのイメージだけをミンナが持っていれば、もめようが言い合おうが最後には必ず笑えるはず。
いろんな人が関わってる店だから、ハタから見るとややこしいかもしれないけど(笑)、これからも一つ、ヨロシクです。
そして、スタッフの人達に一言だけ言っておきたいのは、店に関して何かを決める時には必ず俺に報告してほしい。と、言う事。どんな瑣末な事でもね。
なぜなら、「宮フォーク村」に「生活」がかかってるのは俺だけなんですから(笑)。
今、俺の頭の中ではこの歌が流れているよ...。
「古い船には 新しい水夫が乗り込んでいくだろう
古い船を今動かせるのは 古い水夫じゃないだろう...」
大貫「村長」、これからもヨロシクです!!お互いがんばりましょう!!
2006/04/17(Sun) 10:41:07 | 日記